男性型脱毛症研究(1)
男性型脱毛症の発症には遺伝と男性ホルモンの影響が大変有名です。
男性ホルモンという概念が確立していなかった古代ギリシャ時代のアリストテレスが思春期以降性欲の旺盛な時期の男性に起る脱毛症として考察していたことには驚かされます。
1942年ハミルトンは去勢された男性を集め注目すべき研究を行いました。禿げる家系でまだ禿げていない男性に思春期以前に去勢を行うとはげは起らない、しかし禿げてしまった後に去勢を行っても毛は戻らないがはげは進行しない。
さらに、禿げる家系を持つ男性は去勢しても男性ホルモンを注射するとハゲは進行するが、禿げない家系では注射してもハゲは発症しないという見事な考察を発表しています。
また、すでに禿げている男性で思春期以降であっても去勢するとハゲの進行が止まることも報告しています。
この結果を元にハゲは男性ホルモンによって起っているという考えが定着したといえるでしょう。それまではみんななんとなく男性に起るハゲだから、男性ホルモンと関係あるのだろうくらいの認識で何の証明もなかったのですから。
ようやくスタートラインにたった研究者たちはそれから実に熱心に研究を始めました。
毛の研究というのは皮膚科学の皮膚付属器の一つとしての研究と羊の毛をいかにして効率よく取るかという羊毛産業としての研究が互いに刺激しあいながら行われてきたという背景もあります。
次項以降、それらの研究の中から大きな成果と思われるものを時代や内容を行き来しながら・・・、つまりは筆者の気まぐれで随時更新してみようと思います。
*追記:
男性ホルモンが若ハゲに影響しているということをさらに科学的に証明しようとすると、ハミルトンのように人間でどんどん試してみるという方法では限界があります。
オレゴン大学霊長類研究所のモンターニャ先生一派はベニカオザルという中国原産の顔の赤いサルを用いて数々の研究を行いました。このサルは思春期以降、すなわち男性ホルモンの農度が上昇した後前頭部からハゲが進行する貴重な脱毛モデルです。
さらに余談ですが、モンターニャ先生の研究室とオレゴン大学の皮膚科は当時基礎皮膚科学のメッカで日本からもたくさんの皮膚科医が留学しその後日本各地の教授となられた先生が多いことで有名です。
私の留学時の師匠であるウィスコンシン大学霊長類研究所元教授の宇野先生はモンターニャ先生と多くの研究をされ、ウィスコンシンに移られてからは世界中の企業が育毛剤の相談に訪れ、ミノキシジル(ロゲイン、リアップ)やフィナステリド(プロペシア)等に関する貴重なデータを数多く残されています。










